デジタルファースト品質への移行:オールデジタル品質マネジメントシステムへの3つのステップ 1月 16, 2024 目次 1.はじめに 2.運営上の問題 3.ビジネスへの影響 4.品質マネジメントへの加速 5.オールデジタルファースト品質のための3つのステップアプローチ 6.より迅速な品質管理へ 1.はじめに 多くの中小企業、さらには大企業までもが前時代的なシステムや断片的なシステムによる、品質の課題に苦しんでいます。これらのシステムは品質イベントを管理し、業界の規制のコンプライアンスを確保し、財務リスクを回避するために必要な効率性と視認性を提供してくれないためです。 製薬、バイオサイエンス、ハイテク・エレクトロニクス、食品・飲料など、さまざまな業界の製造企業は市場に送り出す製品に情熱を注いでいます。しかし、品質やコンプライアンスを管理するための日常業務についてはあまり関心がないようです。 そのため、先進的な製品を製造する多くの企業が、前時代的で、複雑すぎて使い勝手が悪く、ひょっとしたら必要な要件に適していないかもしれない、不適切なシステムで品質を管理しています。 利用可能な技術が多く存在しているにもかかわらず、多くの品質管理者は、品質管理を専門とする、品質マネジメントシステム(QMS)の導入を躊躇しているようです。その代わりに、企業の進歩を遅らせ、リスクを増大させる可能性がある、劣後システムに頼っています。 典型的な旧式の品質管理におけるアプローチには、次のものがあります。 ・紙に記録する方法 ・自作のデータベース駆動型システム ・スプレッドシート(またはスプレッドシートのコレクション) 多くの場合、企業は上記の手法を組み合わせて、業務や製品ラインごとに別々のシステムを使用しています。たとえば、苦情を記録するために、1つのシステムを使用し、CAPAを管理するために別のシステムを使用している企業は珍しくありません。このような管理の方法では、根本的な問題をより悪化させるだけです。それぞれのシステムは、あくまでデータを収集・保存するために設計されたものであって、プロセスを促進するためのものではありません。品質管理にはその両方が求められています。 クラウドベースの新しいテクノロジーは、手頃で包括的な最新システムへの移行を加速させました。本記事では、最新システムに迅速かつスムーズに移行するための3つのステップについて、詳しく説明しています。 2.運用上の問題 運用において、手作業と従来のシステムは2つの大問題を引き起こします。 効率の低下 バインダーやスプレッドシートのコレクションのような手作業では、あるシステムから別のシステムにデータを転記しなければならないケースが多々あります。また、自作のシステムは更新のないまま古くなってしまったり、メンテナンスが行き届かなくなってしまったりする傾向があります。このように、自作システムを維持すること自体が時間のかかる作業となりかねません。結果的にエラーを招き、対処すべき問題を引き起こします。つまり、ほとんどの手作業や従来のシステムは、非効率で時間がかかるということです。 視認性の低下 リアルタイムの情報やダッシュボードによる通知がなければ、どのようなタスクやアクションアイテムの期限が迫っているか、非常に把握し難いです。苦情が意図したCAPAを発動させたかどうか、不適合が期限内に解決できたかどうか、といった疑問は定期的に出てきますが、即座に答えるのは難しいかもしれません。迅速な回答が求められる場面において、適切な情報を提供するダッシュボードがない場合、疑問への回答はますます困難です。 3.ビジネスへの影響 このような効率性と可視性の問題はビジネスに深刻な影響を及ぼします。 コンプライアンス さまざまな規制機関が要求する報告書を、適切なフォーマットで必要なデータを含めた形で作成する場合、不必要なほど複雑で時間がかかってしまいます。 監査 データが複数の場所に点在すると、監査人の情報開示請求に即座に応えるのは非常に困難です。さらに、古い、または整理されていないシステムは、監査人に悪い印象を与えて、監査結果に悪影響を及ぼします。 ベンダー管理 ベンダーの評価指標を収集し、構築するのは非常に時間がかかる作業です。サプライヤーのスコアカードの更新には数週間かかることもあります。したがって、表示可能になる時点で、結果において時差が生じます。 財務リスク 品質の問題には、コストがかかります。品質の不具合に対処すると、利益を生み出す活動からリソースを逸らすことになるでしょう。最悪のシナリオであるリコールでは、莫大な金額が損失となるかもしれません。ほとんどの品質問題はリコールまでには至らないものの、いずれにしても収益に悪影響を及ぼします。 4.品質管理の加速 手作業や従来のシステムには、上記のような問題がありますが、新しいシステムに移行するとなると、時間、労力、コストという現実的な障壁があります。多くの企業は、従来のQMSの実装をサポートする資金も技術者も持ちあわせていません。中小企業やITリソースの乏しい企業にとって、「エンタープライズIT(規模が大きい法人企業に向けた市場や製品の意)」という用語そのものが、威圧的なものになり得ます。 幸いなことに、最新テクノロジーはこうした企業の品質管理ニーズに応え、より強力なシステムへの移行を加速させるために進化しています。クラウドの登場はこの点において最も重要な進歩の1つであり、クラウドがほぼ普遍的に受け入れられている強い兆候が見受けられます。 93%の企業が、クラウドでアプリケーションを実行したり、IaaS(Infrastructure as a Service)を試したりしています。 82%の企業がハイブリッドクラウド戦略を導入し、2014年の74%から増加しました。 88%の企業がパブリック・クラウドを利用し、63%の企業がプライベート・クラウドを利用しています。 出典:”トップ5の課題に取り組むことで品質成熟度を向上させる”LNSリサーチ|2015年11月 多くの企業が「クラウドファースト」のデジタル戦略を採用しています。すなわち、クラウド以外のソリューションを採用したい場合、の選択の根拠を正当化し、オンプレミスのソリューションが最適である理由を示さなければなりません。 低コスト 最も興味深いクラウドベースのサービスのひとつに、SaaS(Software-as-aservice)があります。SaaSモデルでは、ソフトウェアはクラウド上に存在し、インターネット経由でアクセスします。SaaSの顧客は、ハードウェアの購入、インストール、ITスタッフのトレーニング、メンテナンスが不要となり、これらに関連するコストもかかりません。このような機能を組み合わせることで、品質に対するコストを大幅に削減できます。 導入の時間短縮 SaaSではセットアップ(ハードウェアの購入やインストールなど)が不要なため、導入コストが削減できるだけでなく、導入に関する時間の短縮が可能です。企業のIT部門は特定のSaaSシステムの評価に関与することはあっても、取扱説明書を読んだり、本番稼動前のシステムの動作確認に関与したりすることはありません。 より良いユーザー体験 今日のビジネス・ユーザーは、LinkedIn、Amazon、Google、その他の大手プロバイダーに期待するものと同等の消費者体験を期待するようになっています。より良い生活を送るためのソリューションを探している研究開発に深く関与している人々は、未知のインターフェースをマスターするために、ソフトウェアのトレーニングクラスにわざわざ時間を費やしたいとは考えないでしょう。SaaSシステムは、ユーザーがすでに使い慣れている標準ブラウザを活用し、直感的なユーザー・インターフェースを提供してくれます。 いつでもどこでもアクセス 最新のSaaSでは、ユーザーは自分のタブレットやスマートフォンでデータにアクセスできます。一般的なコンシューマー向けアプリと同じように操作すればよいのです。 5.オールデジタル品質のための3つのステップアプローチ 紙や手作業、自作システムなどの従来の方法で品質管理を行ってきた企業は、シンプルな3つのステップを踏むことで、デジタル品質管理への取り組みを加速できます。 ステップ1.正しい方針で道を歩き始めましょう 既存の手法を単純にデジタル化してはいけません。これはよくある失敗例で、以下のような問題を生じさせる可能性があります。 ・過度に複雑なワークフロー・効果的でないワークフロー(つまり、ワークフローがメリットになるほど「複雑ではない」)・本来統合されるべき重複したワークフロー・上記のすべて また、「車輪を再発明する」ような、無駄な労力をかけてはいけません。むしろすでに確立され、有効性が証明されているベストプラクティス(最善の方法)を活用しましょう。ベストプラクディスの活用は、その分野に精通した専門家に協力してもらうことと同義であるからです。 求める結果を得るために測定が必要な(不要なものも含む)パラメータを慎重に定義してください。たとえば、可視性、効率性、コスト管理、リスク管理、法規制遵守などです。データ収集に関しては、バランスを取ることが重要です。一方で、捉えられないものは、測定できません。目標に関係のないデータを収集することは、時間と費用の無駄になります。どのような決定を下しても、必要なデータを簡単に取得できるようにしましょう。そうすることで、効率性、可視性、透明性が確保されます。 最後に、事業全体にわたる品質文化の確立に取り組みましょう。品質とは、品質管理部門だけの機能ではありません。企業全体の部門や職能で可視化されるものです。そのため、品質マネジメントシステムを構築、または標準化する際には、上記のような関係者をすべて含めることが重要です。 ステップ2.迅速かつ効果的に展開しましょう 上記ステップ1のベストプラクティスを活用した、簡単に構成可能なソリューションを活用しましょう。既存システムの集中的なカスタマイズは避けます。そもそも品質管理用に設計されていないシステムを過度に構成することで、問題を解決しないでください。ステップ1で説明したように、すでに確立されたベストプラクティスを活用し、品質管理に特化したシステムを選択することで、説明責任と品質ワークフローとの隙間を避けられます。隙間を避けることは、とくにコンプライアンスの観点で重要です。 IT上の品質への取り組みがもたらす業務上の影響と、財務上の影響を最小限に抑えましょう。IT部門が協力するのは当然のことですが、IT部門による過度な関与はプロセスを遅くするだけです。 財務上の影響に関して述べると、予算が少なくリソースが限られている場合はとくに、クラウドベースのシステムを検討しましょう。リソースが限られているという現実は、非常に多くの組織がクラウド・ソリューションを検討している理由の1つです。 ソリューションは素早く展開し、迅速にテストと検証を行ってください。ソリューションを選択する際には、迅速な展開を優先し、このソリューションを最小限の混乱で展開、検証、立ち上げできるベンダーと提携しましょう。規制業界の場合、検証が大きなハードルとなる可能性があります。パートナーが検証プロセスを理解し、問題なく迅速に検証できるようにすることが重要です。 ステップ3.ユーザー導入のスピードアップ ユーザーの導入は成功に不可欠であり、自動的に行われるものではないことを理解してください。使いやすく・ナビゲートしやすく・初心者でさえ難解でないといった、問題を発生させないソリューションを提供する必要があります。 (使いやすさは、生産性と入力データの精度を高めるというメリットもあります。) ビジネスの成果とポジティブなユーザー体験の組み合わせほど、システムの導入を促進できるものはありません。ブラウザベースのSaaSシステムは、この点において、大きな優位性を持っています。ブラウザベースSaaSの操作は、ユーザーにとってすでに馴染み深いものであり、ソフトウェアをインストールする必要もありません。 最後になりますが、最新の品質マネジメントシステムの導入を、より協力的な環境を構築する機会として活用することを推奨します。品質に関するイベントは、企業全体に影響を与え、品質管理を可視化するシステムは、すべてのステークホルダーが品質向上について理解し、貢献するのに役立ちます。 6.より迅速な品質管理へ 上記の3段階のプロセスは、何度も繰り返し実証されています。ベストプラクティスに基づく明確な目標からスタートし、IT部門に大きな負担をかけないソリューションを選択し、エンドユーザーにとっても簡単なものにすると、ほんの数週間で規制要件を満たし監査に耐えうるシステムを構築できます。 ここまでの話を要約すると、WebベースのテクノロジーとSaaSソリューションの登場が品質管理のあり方を変えたということです。いかなる規模の企業においても、品質向上がもたらす経営的・経済的メリットを享受できるようになったのです。成功への最も重要な鍵は、あなたの利益のために経験を活かせる、優れた技術を持つ専門家のパートナーを見つけることです。 お問い合わせはこちらから Share via: Twitter LinkedIn 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